
マウスピース矯正は、目立ちにくく取り外し可能なことから、多くの方に選ばれている矯正治療の方法です。
しかし、自己管理が求められるため、治療期間が長引くケースも少なくありません。
この記事では、マウスピース矯正にかかる平均的な期間や通院回数、治療が長引く原因と対策について詳しく解説します。
予定通りに治療を終えるためのポイントも紹介しますので、マウスピース矯正を検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
マウスピース矯正はどのくらいかかる?治療の平均期間と通院回数

マウスピース矯正にかかる期間は、症例や治療範囲によって異なります。
矯正治療というと何年もかかるというイメージがあり、なかなか始められない方もいるかもしれませんが、治療終了までのスケジュールをイメージしやすくするためにも、平均的な治療期間や通院回数を知っておきましょう。
ここでは、マウスピース矯正の平均的な治療期間と通院回数について解説します。
全体矯正の平均期間
全体矯正とは、上下の歯列全体を整える矯正治療です。
歯列全体を少しずつ整えていくため、比較的長期の治療となります。症状の程度や年齢、生活習慣などによっても変動しますが、目安としては1〜2年程度かかることが多いでしょう。
ただし、噛み合わせを含めた複雑な調整を行う場合は、2年以上の治療が必要になることもあります。
また、歯並びを整えた後は、それを固定させるための保定期間が2年程度必要です。保定期間中はリテーナーと呼ばれる装置を装着し、歯が後戻りしないようにします。
矯正装置もリテーナーも、装着時間を守ることで治療がスムーズに進む傾向にあるため、患者さんの協力が必要不可欠です。
部分矯正の平均期間
部分矯正とは、前歯や奥歯の一部など、限られた範囲の歯を動かして矯正する治療です。
歯の移動には個人差がありますが、比較的短期間で効果が出ることが多く、費用も抑えやすく気軽に始められることから、近年チャレンジする方が増えています。
マウスピース矯正の治療期間は、軽度な歯並びの乱れや歯の隙間であれば半年程度、奥歯の微調整を含む場合でも半年〜1年程度で完了する場合が多いです。
中には、1ヶ月や2ヶ月で目にみえる変化を感じる方もいます。比較的短い期間で治療を終えられるケースも多く、短期集中型の治療を希望される方にも選ばれています。
部分矯正の場合も、全体矯正と同様、矯正治療後にリテーナーの装着が必要です。少なくとも1〜2年程度はリテーナーを装着する必要があるため、あらかじめ把握しておきましょう。
平均的な通院回数
マウスピース矯正は、事前にもらったマウスピースを自宅で交換しながら治療を進めるため、比較的通院回数が少ないのが特徴ですが、それでも定期的な通院が必要です。
一般的には、マウスピース矯正を始めてすぐの頃は1ヶ月に1回程度、その後は2〜3ヶ月に1回程度の通院頻度が目安となります。
定期検診では、マウスピースの状態確認や新しいマウスピースの受け取り、口腔内のチェック、クリーニング、アタッチメントの装着などを行います。
定期的な通院を怠ると、マウスピースのフィット感に影響が出たり、治療の進行が遅れたりすることもあるため注意が必要です。
マウスピース矯正とワイヤー矯正比較!治療期間はどっちが短い?

矯正治療を検討する際、マウスピース矯正だけでなくワイヤー矯正も視野に入れている方もいることでしょう。
ワイヤー矯正は矯正力が高く、マウスピース矯正より短期間で効果が出る傾向にあるとされていますが、症例によっては期間に大差がない場合もあります。
ここでは、一般的なマウスピース矯正とワイヤー矯正の治療期間の違いについて解説します。
全体矯正の場合
全体矯正では、すべての歯をバランスよく動かして噛み合わせを整える必要があるため、マウスピース矯正・ワイヤー矯正ともに比較的長い治療期間が必要です。
症例にもよりますが、具体的には1〜2年程度かかるとされ、マウスピース矯正でもワイヤー矯正でも治療期間に大きな差が出ることはないとされています。
とはいえ、一般的にワイヤー矯正の方が比較的治療期間が短くて済むといわれています。
これは、マウスピース矯正は患者さんの自己管理に委ねられる部分があり、装着時間が不足して治療が遅れるケースもあるからです。
ワイヤー矯正は矯正力が高く、固定式で自分では取り外せないため、計画通りに進みやすいことが理由のひとつだといえるでしょう。
部分矯正の場合
前歯や奥歯など、一部の歯列だけを動かす部分矯正は、全体矯正に比べて短い期間で治療が完了するのが特徴です。
症例にもよりますが、マウスピース矯正では軽度な歯並びや歯の隙間は半年程度、奥歯の微調整を含む場合でも半年〜1年程度で治療が完了します。
ワイヤー矯正でも、ちょっとした歯の隙間を埋める場合は半年程度、長期間かかるものでも1年程度と両者に大きな違いはありません。
ただし、部分矯正は噛み合わせや歯並びの問題が小さい範囲に限られる場合に適応となるため、自分の症例が該当するかどうかは歯科医院での診察で判断されます。
マウスピース矯正の治療期間が長引くケースとは?

比較的治療期間が短くて済むことで人気のマウスピース矯正ですが、患者さん自身の管理状況やライフスタイルなどによっては、長引いてしまうこともあるため注意が必要です。
ここでは、マウスピース矯正の治療期間が長引くケースについて解説します。
装着時間が短い
マウスピース矯正は、1日20時間以上の装着が推奨されています。
装着時間が短いと歯が計画通りに動かず、治療の進行が大幅に遅れることがあります。特に食事や歯磨き以外の時間に外している場合は、せっかく移動した歯が元の位置に戻る『後戻り』が起こりやすく、治療のやり直しが必要になることもあるでしょう。
マウスピース矯正の治療が長引く原因でも特に多いのが、装着時間を守れないケースです。
1日に数十分、数時間の不足でも、長い期間積み重なれば治療に大きく影響するため注意しましょう。
マウスピースの交換が適切でない
マウスピース矯正では、1〜2週間ごとに新しいマウスピースに交換しながら徐々に歯を動かしていきます。
患者さんが自分で交換する場合、自己判断で早めたり遅らせたりすると、歯の動きにズレが生じてしまいます。
マウスピースが適切なタイミングで交換されないと、歯が次のマウスピースの形状に追いつけません。
「痛みが強くて次のマウスピースが装着できない」「予定が合わずに交換が遅れた」などのケースも見られますが、歯科医師の指示通りに交換しないと、治療の精度を下げるだけでなく、やり直しや再設計が必要になる可能性もあります。
適切なタイミングでマウスピースを交換し、担当の歯科医師と密に連携を取ることが大切です。
マウスピースを紛失・破損した
マウスピースを紛失したり破損したりすると、新しいものができあがるまでの間、治療を一時的にストップしなければならず、歯の移動も一時停止します。
結果的に治療期間が伸びてしまうため、マウスピースの取り扱いには十分な注意が必要です。
特に、外食先や旅行中に紛失するケースが多く見られます。破損の場合は、無理に装着を続けることで歯や歯肉に悪影響を与えることもあるでしょう。
マウスピースはひとつずつ精密に作られているため、1枚の欠損でも治療スケジュールが狂ってしまいます。
予備のマウスピースを持ち歩く、保管ケースを常に携帯するなど、日頃から対策することが大切です。
重度の症例である
歯並びのズレが大きい、顎の骨格に問題がある、噛み合わせの調整が複雑など、重度の症例ではマウスピース矯正の期間が長引く傾向にあります。
歯を動かす量が多くなると、マウスピースの枚数も増え、治療期間自体が長期化するためです。
場合によっては部分的にワイヤー矯正を併用したり、外科的な処置が必要になったりすることもあり、一般的な期間よりも時間が必要になります。
症例によっては、マウスピース矯正での治療が難しいケースもあるため、担当の歯科医師とよく相談して、自分に合った方法で治療を受けましょう。
年齢の影響
年齢を重ねると、歯や骨の代謝が落ちて細胞の再生速度も遅くなり、若い頃よりも歯の動きが遅くなることがあります。
さらに歯周組織の状態にも影響を受けるため、加齢によって計画通りに治療が進まず、長引いてしまうこともあるでしょう。
また、年齢が上がるにつれて歯の根の吸収や歯周病のリスクが高まり、これらが矯正の進行を妨げる可能性もあります。
年齢を重ねてからマウスピース矯正をする場合は、歯周病予防や補綴治療などとの連携を含めた総合的な治療計画を立てることが重要です。
定期的に検診を受けていない
マウスピース矯正は比較的通院回数が少ない矯正治療の方法ですが、定期的な歯科医院でのチェックは欠かせません。
定期検診を怠ると、マウスピースの適合不良や歯の動きのズレを見逃し、修正が遅れてしまいます。
また、計画の進行確認や必要な調整を受けないことで治療が滞り、結果として長期化するケースもあるでしょう。
歯の動きには個人差があるため、予定よりも早く進む場合もあれば、遅れる場合もあります。
定期的な診察を通じて、リアルタイムで治療計画を微調整し、マウスピースのフィット感や口腔内の衛生状態も確認することが、口腔内全体の健康を守る意味でも重要です。
治療期間中に虫歯や歯周病になった
マウスピース矯正は、治療期間中に虫歯や歯周病になると、マウスピースの装着が一時的に中断されることがあります。
虫歯や歯周病で口腔内の健康状態が悪化したことで、矯正そのものが困難になり、治療の優先順位が変更される可能性もあるでしょう。
また、歯がぐらつくほど歯周病が進行している場合や虫歯で抜歯が必要になった場合は、治療計画の大幅な見直しが必要になり、治療期間が長引く原因となります。
マウスピース矯正は、装着時間が長くなることで唾液の流れが滞りやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まりやすい傾向にあります。
毎日の丁寧なブラッシングや定期的な歯科検診など、予防意識の高さが重要です。治療期間中の口腔トラブルは、治療計画全体に影響を与えるため、早期発見・早期対応を心がけましょう。
マウスピース矯正を予定通り終わらせるためのポイント

治療をスムーズに終えるためには、患者さん自身の協力や日常的な習慣、セルフケアが重要です。
ここでは、マウスピース矯正を予定通りに終わらせるためのポイントを6つ紹介します。
マウスピースの装着方法を守る
マウスピース矯正は、長時間の装着時間を守るだけでなく、正しい装着方法を守ることも大切です。
マウスピースがしっかりと歯にフィットしていないと、矯正力が十分にかからず、歯の移動が計画通りに進みません。
装着時にはチューイーという小さな咬合用具を使って、マウスピースをしっかりと圧着させて浮きやズレを防ぎましょう。
慣れるまでは多少の違和感があるかもしれませんが、丁寧に装着する習慣を身につけることで、よりスムーズな治療が期待できます。
口腔ケアを徹底する
マウスピース矯正は、装着時間が長くなることで唾液による自浄作用が弱まり、虫歯や歯周病のリスクが高まる傾向にあります。
口腔内の状態によっては、歯の形や位置が変わってしまい、マウスピースの再作成が必要になるかもしれません。
そのような状態にならないためにも、毎食後のブラッシングとフロスによる歯間清掃を徹底し、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることが大切です。
食事や生活習慣に気をつける
マウスピースは食事中に外す必要があるため、1日の食事回数や間食の頻度にも注意が必要です。
頻繁に外してしまうと装着時間が不足し、治療が計画通りに進まなくなる恐れがあります。
また、硬いものを好んで食べると歯に大きな力がかかり、矯正中の歯に悪影響を与えかねません。
喫煙や飲酒も口腔内環境の悪化を招くため、できる限り控えましょう。
マウスピースの清潔を保つ
毎日長時間使用するマウスピースは、常に清潔な状態を保つことが大切です。汚れたままの装置を使い続けると、細菌が繁殖して口臭や虫歯、歯周病の原因になります。
特に就寝前や長時間の装着前には、念入りな清掃が欠かせません。
マウスピースはぬるま湯に洗浄剤を溶かし、歯ブラシや専用のブラシで毎日洗浄してしっかり乾燥させてから保管します。熱湯や強い洗剤は変形の原因となるため、使用を避けましょう。
定期検診をきちんと受ける
マウスピース矯正を予定通りに終えるには、定期検診が重要です。
治療開始後は数週間〜数ヶ月おきに通院し、歯の動きやマウスピースの適合をチェックしてもらいましょう。
予定よりも歯の動きが早い、もしくは遅れているといった場合は、検診で適切な対処が可能です。
オプションの利用も検討する
治療をよりスムーズに進めるために、マウスピース矯正ではさまざまなオプションを活用するのもひとつの方法です。
例えば、『オーソパルス(加速装置)』を使えば、歯の移動を早め、治療期間の短縮が期待できます。
また、アタッチメントや顎間ゴムを併用することで、難しい歯の動きにも対応しやすくなります。
これらのオプションは追加費用が発生する場合もありますが、効果的に利用すれば治療の質や効率が大きく向上する可能性があるため、歯科医師と相談しながら自分に合ったオプションを選びましょう。
まとめ
マウスピース矯正は、正しい知識と日常の心がけ次第で、スムーズに進めることが可能です。
装着時間の管理や口腔ケア、定期検診といった基本を守ることが、治療期間を長引かせず、予定通りに終わらせるポイントです。
万が一治療が長引いてしまった場合も、原因を見直して歯科医師と連携して対処すれば挽回できる可能性があるため、今回紹介したポイントを参考に、無理なく理想の歯並びを目指しましょう。
お花茶屋ハル歯科・矯正歯科では、あらゆる年代のニーズに対応できるよう、さまざまな種類の矯正治療をご用意し、患者様のご要望に応じて適した治療をご提案いたします。
歯並びによっては、短期間。低料金での部分矯正のご提案もできる可能性がありますので、マウスピース矯正を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。