
歯並びの悩みを抱えている方は非常に多く、見た目の問題だけではなく、健康面にもさまざまな影響を及ぼすことが知られています。
歯並びが悪いことで虫歯や歯周病のリスクが高まったり、発音に影響したり、さらには頭痛や肩こりの原因になることもあります。
適切な知識を身につけることで、自分の歯並びの状態を正しく理解し、必要に応じて適切な対処法を選択することができるでしょう。
この記事では歯並びが悪い状態の原因や起こりうる問題について詳しく解説します。
歯並びが悪い状態とは

歯並びが悪い状態とは、医学的には「不正咬合」と呼ばれ、歯が正しい位置に生えていない、または上下の歯が適切に噛み合わない状態を指します。
代表的な不正咬合は以下の通りです
- 上顎前突(出っ歯)
- 下顎前突(受け口・反対咬合)
- 叢生(歯が重なって生えている状態)
- 開咬(奥歯で噛んでも前歯に隙間ができる状態)
- すきっ歯
これらの不正咬合は単なる見た目の問題ではなく、口腔機能や全身の健康に大きな影響を与える可能性があります。
歯並びの悪さは、歯ブラシが届きにくい箇所を作り出し、プラークや細菌が溜まりやすくなることで虫歯や歯周病のリスクを高めてしまいます。
歯並びが悪い原因3選

歯並びが悪くなる原因は多岐にわたりますが、主に先天的な原因と後天的な原因の2つとされています。
後天的原因の中でも特に影響が大きいのは生活習慣や悪習慣であり、これらを理解することで予防や改善につなげることができるでしょう。
ここでは、歯並びが悪くなる原因について詳しく解説します。
遺伝や骨格などの先天的な影響
遺伝による影響は歯並びが悪くなる原因の一つですが、実際のところ先天的な原因は全体の一部とされており、遺伝による顎や歯の形態が影響を及ぼすことがあります。
しかし、顎の大きさや歯の大きさ、形状などは遺伝的要因によって決まる部分もあり、これらが歯並びに影響を与えることがあります。
また、親の歯並びが悪い習慣を子どもが模倣することで、同じように歯並びが悪くなるケースも非常に多いとされています。
遺伝的要因だけでなく、家族内で共通する生活習慣や癖も歯並びに影響を与えているということを理解しておくことが重要です。
指しゃぶりや口呼吸などの生活習慣
生活習慣による影響は歯並びの悪化に大きく関わっており、特に幼少期からの悪習慣が重要な要因となっています。
指しゃぶりは多くの子どもが3歳で自然にやめるとされていますが、4〜5歳以降も続く場合は上の前歯を前方に押し出しことで、出っ歯の原因となる可能性があります。
また、口呼吸により本来上顎に密着すべき舌の位置が下がることも、上顎が狭くなったり受け口になったりする原因です。
その他にも舌で歯を押す癖、爪を噛む癖、頬杖をつく癖、片側だけで噛む癖なども歯並びを悪化させる要因とされており、これらの習慣は意識的に改善していく必要があります。
乳歯の抜け方や生え変わりのタイミング
乳歯の状態や生え変わりのタイミングも歯並びに大きな影響を与える重要な要因です。
乳歯に大きな虫歯ができて歯の根が炎症を起こしている場合、奥に控える永久歯の生える方向を変えてしまう可能性があります。
また、乳歯は永久歯の生える位置をガイドする重要な役割を持っているため、「乳歯は抜けるから大丈夫」という考えは良くありません。
良い歯並びの形成には、適切な時期に乳歯が抜け、永久歯がスムーズに生え変わることが欠かせない条件となっています。
歯並びが悪いことで起こる問題

歯並びの悪さは見た目の問題だけではなく、口腔内の健康から全身の健康まで幅広い影響を及ぼすことが知られています。
ここでは、歯並びが悪いことで起こる具体的な問題について詳しく解説します。
見た目・コンプレックスによる心理的影響
歯並びの悪さは見た目に直接影響するため、多くの方が心理的なコンプレックスを抱える原因となります。
人前で笑うことをためらったり、コミュニケーション時に自信を失ったりすることがあり、人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
特に思春期や青年期においては、見た目への関心が高まる時期でもあり、歯並びによるコンプレックスが自己肯定感の低下や社交性への影響をもたらすケースもあるでしょう。
虫歯や歯周病リスクの増加
歯並びが悪いと歯ブラシが届きにくい場所ができるため、プラークや細菌が溜まりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが大幅に高まります。
特に歯が重なって生えている場合、歯と歯の間の清掃が困難になり、歯石が蓄積しやすい環境となります。
また、適切な清掃ができないことも口臭の原因にもなりやすく、口腔内の健康状態全体が悪化する原因です。
定期的な歯科検診とクリーニングが特に重要になりますが、根本的な解決には歯並びの改善が必要となることが多いでしょう。
発音・滑舌への影響
歯並びの悪さは発音や滑舌にも大きな影響を与えます。特にサ行、タ行、ナ行、ラ行などの発音が舌たらずになったり、不明瞭になったりすることがあります。
これは舌の正しい位置が確保できなかったり、歯と歯の間に適切な隙間がなかったりすることが原因です。
発音の問題は日常会話だけではなく、仕事や学習面でもコミュニケーションの障害となる可能性があるため、改善することが望ましいです。
咀嚼・消化機能への悪影響
歯並びが悪いと上下の歯が正しく噛み合わないため、食べ物を効率的に噛むことができなくなります。
十分に咀嚼されない食べ物は消化器系への負担を増加させ、胃腸の働きに悪影響を与える可能性があります。
また、特定の歯に偏った負担がかかることで、その歯の摩耗や破損のリスクも高まり、噛む力が偏ることで顎の筋肉のバランスも崩れやすいです。
肩こり・頭痛など全身への影響
歯並びの悪さによる噛み合わせの不具合は、顎関節への負担を増加させ、それが肩こりや頭痛などの全身症状を引き起こすことがあります。
顎の位置のずれは首や肩の筋肉にも影響が及ぶ場合があるため、慢性的な筋肉の緊張状態を作りやすい状態です。
また、全ての歯が接触して噛み合わせが安定していないと、運動能力を十分に発揮できないおそれもあるとされています。
歯並びの悪さを改善するには

歯並びを改善する方法にはさまざまな選択肢があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
ここでは、現在利用可能な主要な歯科矯正治療の選択肢について詳しく解説します。
ワイヤー矯正の特徴
ワイヤー矯正は最も一般的で実績のある矯正治療法で、歯にブラケットという装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かしていく方法です。
さまざまな歯並びの問題に対応でき、重度の不正咬合でも確実な治療効果を期待できるのが大きな特徴となっています。
金属製のブラケットが一般的ですが、目立ちにくい白いセラミック製やプラスチック製のブラケットも選択可能です。
治療期間は一般的に2〜3年程度で、複雑なケースでもより長期間をかけて対応することができます。
ただし、装置が目立ちやすいことや、歯磨きがやや困難になることがデメリットとして挙げられるでしょう。
マウスピース矯正の特徴
マウスピース矯正は透明なプラスチック製のマウスピースを段階的に交換しながら歯を動かしていく治療法です。
装置が目立たないため審美性に優れており、取り外し可能なため食事や歯磨きの際に不便を感じにくいのが大きなメリットとなっています。
しかし、軽度から中度の歯並びに適応が限られる場合があり、重度の不正咬合には適さないケースもあります。
また、1日20時間以上の装着が必要で、患者さんの協力度が治療成果に大きく影響するため、自己管理能力が重要になります。
治療期間はケースによって異なりますが、比較的軽度な場合は数ヶ月から1年程度で完了することも可能でしょう。
部分矯正の選択肢
部分矯正は前歯など特定の部分のみを対象とした矯正治療で、短期間かつ低料金での治療が可能な選択肢です。
全体的な矯正治療に比べて治療期間が短く、費用も抑えられるため、気になる部分だけを改善したい方に適しています。
ワイヤーを使用した部分矯正やマウスピースを使用した部分矯正など、さまざまな方法があります。
ただし、適応できるケースが限られており、噛み合わせの大幅な改善は期待できない場合があります。また、全体的な歯並びの調和を考慮する必要があるため、事前の詳細な診断が重要となってくるでしょう。
外科矯正が必要なケース
骨格的な問題が原因で歯並びが悪い場合、通常の矯正治療だけでは十分な改善が得られないことがあります。
このような場合には外科的矯正治療が必要となり、顎の骨を外科手術によって移動させる治療が行われます。
外科的矯正治療は、上顎や下顎の位置関係に大きな問題がある場合や、顎の大きさに著しい異常がある場合などが対象となることが多いです。
手術は入院を伴う大掛かりな治療となりますが、機能面と審美面の両方で大幅な改善を期待することができます。
ただし、全身麻酔下での手術となるため、全身状態や年齢なども考慮して適応を決定する必要があるでしょう。
年齢による制限はあるか
矯正治療に年齢制限はなく、成人になってからでも治療を受けることが可能です。
子どもの頃の治療は骨の成長を利用できるメリットがありますが、大人の場合も歯の周りの組織が健康であれば問題なく歯を動かすことができます。
ただし、年齢とともに歯の動きがゆっくりになる傾向があり、治療期間が長くなる場合があります。
矯正治療は何歳からでも始められる治療ですが、早期の治療開始が望ましいです。
後悔しない矯正歯科の選び方

矯正治療は長期間にわたる治療であり、費用も高額になることが多いため、信頼できる矯正歯科選びは非常に重要です。
ここでは、後悔しない矯正歯科選びのポイントについて詳しく解説します。
まず矯正専門の歯科と一般歯科の違いを理解する
歯科医師になると法律で定められた診療科であれば、一度も矯正治療を行ったことがない歯科医師でも矯正歯科を名乗ることができます。
したがって、矯正治療の技術や知識を確認するうえで、日本矯正歯科学会の認定医が在籍しているかを確認することが重要です。
矯正専門の歯科医院では矯正治療に特化した設備や環境が整っており、より専門性の高い治療を受けることができます。
一般歯科でも矯正治療を行っている場合がありますが、専門医の有無や治療実績を十分に確認する必要があるでしょう。
カウンセリングの丁寧さや説明のわかりやすさを重視
矯正歯科では、初回のカウンセリングで患者さんの悩みや希望をしっかりと聞き、治療方法や期間、費用について丁寧で分かりやすい説明を行います。
コミュニケーションをしっかりとれる医師かどうかは、長期間の治療において非常に重要な要素となります。
説明が曖昧だったり、質問に対して十分な回答が得られなかったりする場合は注意が必要です。また、診断結果の資料や契約書を適切に渡してくれるかどうかも重要なポイントとなります。
患者さんの立場に立って、不安や疑問を解消してくれる歯科医を選ぶことが大切です。
治療実績・症例数は安心材料になる
矯正治療の実績や症例数は、その医院の技術力や経験値を判断する重要な指標となります。
特に自分と似たような症例の治療経験が豊富な医院を選ぶことで、より安心して治療を受けられるでしょう。
症例写真や治療結果を見せてもらうことで、その医院の治療レベルを確認することも可能です。
ただし、症例数だけでなく、治療の質や利用者の満足度も重要な要素となります。可能であれば、実際に治療を受けた知人の体験談を聞くことができれば参考になるでしょう。
費用の明瞭さとトータル費用を確認する
矯正治療は一般的に自由診療となるため、医院によって費用設定が大きく異なります。初回の相談時に、治療にかかる総費用を明確に提示してもらうことが重要です。
また、追加費用の発生条件や支払い方法についても事前に確認しておく必要があります。極端に安い料金設定の場合は、後から追加費用が発生する可能性もあるため注意が必要です。
適正価格での治療を提供し、費用についても透明性の高い説明をしてくれる医院を選びましょう。
口コミや評判に加えて実際に話を聞く
インターネットの口コミや評判は参考になりますが、それだけで判断するのは望ましくありません。
実際に医院を訪れてスタッフや医師と話をし、医院の雰囲気や対応を確認することが重要となります。
待ち時間が適切かどうか、スタッフの対応が丁寧かどうかなども判断材料となります。また、設備や環境が整っているか、清潔さが保たれているかなども重要なポイントです。
アクセスのしやすさも長期間の通院を考慮すると重要な要素となるでしょう。複数の医院でカウンセリングを受けて比較検討することをおすすめします。
まとめ
歯並びが悪い状態は、見た目の印象だけでなく、虫歯や歯周病、発音、咀嚼機能、さらには肩こりや頭痛といった全身への影響まで及ぶことがあります。
原因は先天的な要因だけでなく、生活習慣や乳歯の状態など後天的なものも多く含まれます。
治療法としては、ワイヤー矯正やマウスピース矯正、外科矯正などがあり、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
矯正治療で後悔しないためには、矯正歯科選びにおいて、専門性・丁寧な説明・症例数・費用の明瞭さなどをしっかり確認しましょう。
お花茶屋ハル歯科・矯正歯科は、矯正専門医が在籍し、お子さまから大人まで幅広い症例に対応しています。
マウスピース矯正や白いブラケット矯正など、目立ちにくい矯正治療をはじめ、患者さまのライフスタイルに寄り添った治療提案を行います。
歯並びが悪いとお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。